給与格差の見える化

CEO報酬の国際比較 2024–2025

社長の1年は、
働く人の何年分か。

米国の大企業CEOの平均報酬は、働く人の賃金中央値の312倍(2025年)。同じ物差しは国によって大きく違い、日本はおよそ47倍と推計される。欧米と日本を含む主要6カ国の最新調査から、経営トップと一般従業員の給与格差を可視化した。

1マス = その国の平均的な働き手の年収1年分。

比較

格差は、国によってこれだけ違う

各国でもっとも広く引用される調査の「格差倍率」を並べた。米国とカナダが突出し、英仏が続き、日独は比較的小さい。ただし調査ごとに「CEOの範囲」と「比べる相手」が異なる点に注意(各バーの算式と下部の注記を参照)。

米国はイーロン・マスク氏(テスラ)を除いた平均。含めると5,387倍。日本は当サイトの試算値(注記参照)。
換算

働き手の1年分を、CEOは何日で稼ぐか

上の倍率を「日数」に換算すると、格差は体感しやすくなる。米国とカナダのCEOは、年明けの1月2日には平均的な働き手の年収を稼ぎ終えている計算になる。

365日均等に稼ぐと仮定した単純計算。カナダの調査元CCPAも「1月2日午前9時23分に平均年収に到達」と試算している。
推移

米国で開いた、50年の距離

1965年の米国では、大企業CEOの報酬は典型的な労働者の21倍だった。格差はITバブル期の2000年に398倍まで急拡大し、コロナ後の株高だった2021年には399倍と過去最高を記録。足元でも約280倍と、50年前の13倍以上の水準にある。

出典: Economic Policy Institute(EPI)。大手350社CEOの実現報酬(ストックオプション行使益等を含む)÷ 主要産業の典型的労働者の報酬。
水準

報酬そのものは、いくらか

倍率だけでなく金額でも、日本と米欧の距離は大きい。売上高等1兆円以上の大企業で比べると、日本のCEO総報酬の中央値は米国の約7分の1にとどまる。

出典: WTW「日米欧CEO報酬比較」2024年調査(2023年度・円換算)。売上高等1兆円以上企業のCEO総報酬中央値。日本は2024年度に3.0億円へ増加(前年比+7.2%)。
日本

日本の現在地

日本の格差は米欧より小さいが、方向としては拡大が続く。役員報酬1億円以上の開示者は過去最多を更新し、CEO報酬に占める業績連動部分(賞与+株式報酬)は約3分の2まで上昇。報酬の設計は米欧型に近づきつつある。

役員報酬1億円以上の開示

1,120

509社・2023年度。社数/人数とも過去最多(東京商工リサーチ)。

役員平均報酬と従業員給与の差(中央値)

10.8

1億円以上を開示した上場企業(東京商工リサーチ・2023年度)。

社内格差の最大例(2025年3月期)

71.9

トヨタ自動車。役員平均7億650万円 ÷ 従業員平均983万円(東洋経済オンライン)。

大企業CEO総報酬の中央値

3.0億円

2024年度・前年比+7.2%。変動報酬が約3分の2を占める(WTW)。

個別に見れば、日本にも桁外れの例はある。2023年度はセブン&イレブン(米国法人)を率いたジョセフ・M・デピント取締役の報酬77億3,200万円が国内最高で、従業員平均給与との差は944倍に達した。一方、上場企業全体の従業員平均年収は633万7,000円と、2010年度以降の最高を更新している。

出典

データと注記

このページの数値は、いずれも各国で定期公表されている調査に基づく(日本の倍率のみ当サイト試算)。チャートの元データは下表のとおり。

主要国のCEO・従業員給与格差 一覧
倍率算式(CEO側 ÷ 従業員側)出典
米国312倍 S&P500のCEO平均報酬(2,280万ドル・2025年)÷ 米国労働者の賃金中央値。マスク氏を含めると平均5,387倍。 AFL-CIO Executive Paywatch 2026
米国(長期系列)281倍 大手350社CEOの実現報酬 ÷ 典型的労働者の報酬(2024年)。 Economic Policy Institute
カナダ248倍 報酬上位100人のCEO平均(1,620万カナダドル・2024年)÷ 全国平均賃金(65,548カナダドル)。 CCPA(カナダ政策代替センター)
英国122倍 FTSE100のCEO報酬中央値(458万ポンド・2024/25年度)÷ 英フルタイム労働者の賃金中央値。 High Pay Centre
フランス117倍 CAC40のCEO平均報酬 ÷ 自社従業員の平均賃金(2023年。2022年は130倍)。 Oxfam France
日本(試算)約47倍 時価総額上位企業のCEO総報酬中央値(3.0億円・2024年度、WTW)÷ 上場企業の従業員平均年収(633.7万円・2023年度、東京商工リサーチ)。 WTW / 東京商工リサーチ
日本(役員ベース)10.8倍 役員報酬1億円以上を開示した上場企業の、役員平均報酬 ÷ 自社従業員平均給与の中央値(2023年度)。 東京商工リサーチ
ドイツ42倍 DAX40のCEO平均報酬(614万ユーロ・2025年度)÷ 自社従業員の平均賃金。 DSW / ミュンヘン工科大学
米国の推移(EPI)の元データを見る
倍率
  1. 倍率の横並びは目安。調査ごとに「平均か中央値か」「比較相手が全国の労働者か自社従業員か」「株式報酬を付与時価値で見るか実現益で見るか」が異なるため、国どうしの厳密な比較はできない。
  2. 日本の「約47倍」は当サイトの試算。分子(WTW調査・時価総額上位企業のCEO総報酬中央値3.0億円)と分母(東京商工リサーチ集計・上場企業従業員の平均年収633.7万円)の出典・対象範囲が異なる参考値。
  3. 「何日で稼ぐか」は倍率から365日均等と仮定した単純換算。
  4. WTWの報酬額は円換算値のため、為替レートの影響を受ける。対象は日米英独仏の売上高等1兆円以上企業(米はFortune500から389社、日本は時価総額上位100社から82社など)。
  5. EPIの系列は「実現報酬」(ストックオプション行使益・株式権利確定分を含む)ベース。付与時価値ベースでは水準がやや低くなる。
  6. 米AFL-CIOの倍率は、S&P500のCEO平均報酬を米国の労働者賃金中央値で割ったもので、各社が開示する「ペイ・レシオ」(自社従業員中央値との比)の平均とは異なる。