日本の国債残高の推移

普通国債残高(各年度末)・昭和40年度(1965)〜令和8年度(2026、見込み)|出典:財務省

普通国債残高(2025年度末・実績)
1,104.3兆円
令和7年度末
特例国債(赤字国債)の割合
68.8%
2025年度末残高に占める割合
2026年度末(見込み)
1,145.4兆円
令和8年度当初予算ベース

普通国債残高(兆円)

各年度末時点の額面総額。点線は見込み値。

2025年度までは実績、2026年度は当初予算ベースの見込み。

普通国債残高の内訳(兆円)

2007年度以降の年度末残高の内訳。2026年度(薄い部分)は見込み。

「その他」は減税特例国債、国鉄・林野・交付税の承継債務借換国債、年金特例国債、GX経済移行債、子ども・子育て支援特例公債、半導体・AI債の合計。2007年度より前の年次内訳は本資料には未収録。

普通国債残高の対GDP比(%)

名目GDPに対する比率。点線は見込み値。

GDPは名目値。2024年度までは実績。2025年度は実績残高を政府経済見通し(令和8年1月23日)の名目GDPで除した試算値、2026年度は当初予算ベースの見込み。

解説:このグラフからわかること

そもそも「国債」とは何か

国債とは、国の借金のことです。国は毎年、税金(税収)を集めて、社会保障・教育・防衛・公共事業などにお金を使います(歳出)。しかし今の日本は、使うお金に対して税収が足りません。その不足分を、国は「国債」という債券(お金を借りた証明書)を発行して、銀行や投資家などからお金を借りて埋めています。1枚目のグラフの「残高」は、こうして借りてまだ返し終わっていないお金の累計です。1年ごとの借入額ではなく、積み上がった借金の総額であることがポイントです。

① 残高のグラフ:60年間でおよそ5,500倍に

1965年度に戦後初めて国債が発行されたとき、残高は0.2兆円(2,000億円)でした。それが2025年度末には1,104.3兆円。約60年間でおよそ5,500倍になり、しかも一度も大きく減ることなく増え続けています。これがこのグラフの最大のメッセージです。

増え方には段階があります。1970年代半ばの石油ショック後に不況で税収が落ち込み、国は「特例国債」(後述)を本格的に発行し始めました。次の転機は1990年代です。グラフの「バブル崩壊」のあたりから傾きが急になっているのがわかります。バブル経済の崩壊で税収が減る一方、景気を立て直すための対策にお金を使ったため、借金のペースが一気に上がりました。さらに2008年の「リーマン・ショック」(世界金融危機)では1年で約48兆円、2020年の「新型コロナ」対策では1年で約60兆円と、危機のたびに残高が階段状にジャンプしています。不況や危機のとき、税収は減るのに支出は増える——国債はその衝撃を吸収する役割を果たしてきた、とも読めます。

それでは、なぜ平時にも増え続けるのでしょうか。最大の理由は高齢化です。年金・医療・介護といった社会保障費は高齢化とともに毎年増え続けており、税収の伸びだけでは追いつきません。近年の国の一般会計は、歳出が110兆円を超えるのに対し、税収は70〜80兆円程度。差額を国債に頼る構造が何十年も続いているため、残高は雪だるま式に積み上がっていきます。また、国の予算のうち約4分の1は、過去の借金の利子の支払いと返済(国債費)に充てられており、「借金を返すためにまた借りる」状態が続いています。

② 内訳のグラフ:借金の7割は「赤字国債」

国債には種類があり、法律上の扱いが大きく違います。2枚目のグラフはそれを色分けしたものです。

グラフを見ると、建設国債(オレンジ)は2007年度の約237兆円から2025年度の約311兆円へと比較的ゆるやかな増加なのに対し、特例国債(青)は約277兆円から約760兆円へと2.7倍以上に膨らみ、残高全体の約69%を占めるに至っています。つまり、近年の借金の増加は、資産が残る公共事業のためではなく、毎年の生活費の不足を埋める「赤字国債」によるものだとわかります。本来は例外だったはずの赤字国債が、いまや借金の主役になっている——これがこのグラフから読み取れる重要な変化です。

③ 対GDP比のグラフ:「収入」と比べた借金の重さ

借金の重さは、金額だけでは判断できません。年収300万円の人にとっての1,000万円の借金と、年収3,000万円の人にとっての1,000万円の借金では、意味がまったく違うからです。国の場合、「収入にあたるもの」として使われるのがGDP(国内総生産)——その国が1年間に生み出したモノやサービスの価値の合計、いわば国全体の稼ぐ力です。3枚目のグラフは、国債残高がGDPの何%にあたるかを示しています。

1990年度にはまだ約37%でしたが、2025年度には約165%。日本経済が1年半以上かけて稼ぐ金額に相当する借金がある、ということです。国と地方の借金を合わせた国際比較の指標で見ると、日本は主要先進国の中で最も高い水準にあるとされています。

このグラフには、割り算ならではの面白い動きが2つあります。1つ目は1990年代の急上昇です。分子(借金)が増えただけでなく、バブル崩壊後に分母(GDP)がほとんど成長しなくなったため、比率が一気に悪化しました。「失われた30年」と呼ばれる経済の停滞が、借金の重さを倍加させたのです。2つ目は2022年度以降のわずかな低下です。残高そのものは増え続けているのに、物価上昇(インフレ)で名目GDPが伸びたため、比率としては下がりました。比率が下がっていても借金が減ったわけではない——分子と分母の両方を見る習慣は、経済データを読むうえでとても大切です。

考えるヒント

この借金をどう評価するかは、経済学でも意見が分かれるテーマです。「利子の支払いが他の予算を圧迫する」「将来世代に負担を先送りしている」「金利が上がれば利払いが急増する」といった懸念がある一方、「日本国債の大部分は国内で保有されている」「低金利が続き利払い負担は抑えられてきた」「国は借金だけでなく資産も持っている」といった見方もあります。大切なのは、まずこのページのような一次データ(財務省の公表数値)で事実を正確につかみ、そのうえで異なる立場の主張を比べてみることです。残高の増加を主導しているのが何か(②)、経済の成長との関係はどうか(③)——この2つの視点は、財政について自分の意見を作るときの土台になります。

データ表を見る(全年度)
年度和暦残高(兆円)対GDP比(%)建設国債特例国債復興債その他

内訳(兆円)は2007年度以降のみ。2025年度の対GDP比は実績残高÷政府経済見通しの名目GDPによる試算値。