汽水湖の、豊かな水
海水と淡水が混ざり合う浜名湖は、プランクトンや小魚が育つ豊かな環境。湖のミネラルが、うなぎの身にやわらかさと深い旨みを与えます。
SHIZUOKALAKE HAMANA
汽水の湖が育てた、
百年余りのおいしさ。
静岡県浜松市・湖西市に広がる浜名湖。海と湖が出会う豊かな水と、温暖な気候が、香ばしく、ふっくらとしたうなぎを育ててきました。
浜名湖は、太平洋とつながる汽水湖。海水と淡水が混ざり合う独特の環境が、うなぎにとって豊かな生育の場をつくっています。
浜名湖は、遠州灘とつながる日本有数の汽水湖です。海からはミネラルを含む海水が、山からは豊かな淡水が流れ込み、湖内には多様な生きものが暮らしています。
浜名湖でのうなぎ養殖は、明治24年(1891年)ごろ、現在の湖西市にあたる一帯で始まったとされています。以来130年余り、養鰻の技術と、蒲焼きの文化が受け継がれてきました。
浜名湖周辺で育てられたうなぎは「浜名湖うなぎ」と呼ばれ、静岡を代表する味として親しまれています。そのおいしさの背景にあるのは、湖の環境と、そこに暮らす人々の手仕事です。
※ 面積・周囲長・水深は静岡県などが公表する値を参照。湖は浜松市と湖西市にまたがっています。
海の恵みと、山の恵み。
浜名湖という土地の記憶
ふたつの水が出会う湖だから、
うなぎはおいしく育つ。
水、気候、餌、そして人の手。浜名湖うなぎの味は、いくつもの要素が重なり合って生まれます。
海水と淡水が混ざり合う浜名湖は、プランクトンや小魚が育つ豊かな環境。湖のミネラルが、うなぎの身にやわらかさと深い旨みを与えます。
一年を通して穏やかな浜松の気候は、うなぎが無理なく育つ環境。水温の変化がゆるやかで、じっくりと身を大きくすることができます。
きれいな地下水を引き入れ、その日の水温やうなぎの状態を見ながら給餌。手間を惜しまない養鰻が、味の差をつくります。
裂き、白焼きにし、蒸して、タレを付けて焼く。蒲焼きの一連の工程を、職人が一本ずつ丁寧に仕上げていきます。
CRAFT, WATER, AND TIME.
うなぎは、手をかけた分だけ応えてくれる。
浜名湖の養鰻は、いまも人の目と手で支えられています。
明治のころに始まった養鰻は、湖の暮らしとともに育ち、やがて浜松・浜名湖を代表する食文化になりました。
現在の湖西市にあたる浜名湖周辺で、うなぎの養殖が始まったとされています。温暖な気候と豊富な水が、養鰻に適していました。
舞阪や浜名湖沿岸にも養鰻池が広がり、試行錯誤の末に飼育技術が磨かれていきます。浜名湖は、日本有数のうなぎ産地へと歩み始めました。
給餌や水質管理の方法が改良され、安定した生産が可能に。養鰻は、地域を支える産業として根付いていきました。
高度経済成長とともに、うなぎの蒲焼きが食卓や贈り物として広がります。浜松・浜名湖のうなぎは、多くの人に知られる味になりました。
汽水湖の環境を守りながら、養鰻と蒲焼きの文化を次世代へ。資源保護や完全養殖の研究も進み、浜名湖うなぎの歴史は続いています。
※ 歴史の年表は公開情報をもとにした概要です。起源や年代には諸説あります。
うなぎは、海で生まれ、川や湖で育ち、ふたたび海へ還ります。その旅路には、いまも解き明かされていない謎が残っています。
EGG
マリアナ海溝付近の海で産卵すると考えられています。直径1ミリほどの、小さな命です。
LEPTOCEPHALUS
葉のような形の幼生。黒潮に乗って、長い時間をかけて日本の沿岸へと旅します。
GLASS EEL
透明な体の稚魚。河口にたどり着き、川や湖へとのぼっていきます。養鰻では、この稚魚を育みます。
YELLOW EEL
湖や池で数年かけて成長。黄色みを帯びた体で、夜になると小魚や甲殻類を求めて動き回ります。
SILVER EEL
成熟すると体は銀色に。海へ戻り、産卵の旅に出ます。その一生の多くは、まだ謎に包まれています。
現在の浜名湖の養鰻は、天然のシラスウナギを採捕して育てる方法が主流です。うなぎ資源を持続的に守るため、稚魚の安定供給や完全養殖の研究が進められています。
香ばしい皮と、ふっくらとした身。浜名湖の蒲焼きは、関東風の「蒸し」を加えた、やわらかな仕上がりが特徴です。
THE FOUR STEPS
静岡は関東風と関西風が交わる地域。浜松では、背開きにして白焼きし、蒸してからタレ焼きにする関東風の蒲焼きが親しまれています。
背開きにして、身を傷めないように包丁を入れる。下ごしらえが、仕上がりを左右します。
炭火で皮目から焼き、余分な脂を落とす。ここで香ばしさと、身の旨みを閉じ込めます。
数分間蒸すことで、身はふっくらとやわらかに。関東風の蒲焼きならではの食感が生まれます。
醤油・みりん・砂糖のタレを付け、香ばしく焼き上げる。焦がさず、艶やかに仕上げるのが職人の技です。
UNAJU
タレがしみたご飯の上に、香ばしい蒲焼きを。山椒をひとふり添えれば、香りがふっと立ちのぼります。
SHIRAYAKI
タレを付けずに焼き上げ、わさびや塩で味わう。うなぎそのものの旨みと、ふくよかな香りを楽しめます。
UZAKU
蒲焼きときゅうりを酢で和えた、さっぱりとした一品。箸休めにも、お酒のお供にもよく合います。
「焼きすぎず、蒸しすぎず。
うなぎの声を聴くように、火を入れる。」
うなぎを味わったあとは、湖のほとりをゆっくり歩く。温泉、夕景、城下町。浜名湖は、一日では足りないほど豊かな場所です。
※ 位置関係をわかりやすく示したイメージ図です。実際の地形とは異なります。
KANZANJI ONSEN
浜名湖を一望する温泉街。うなぎの昼食のあとに、湖を眺めながらひと風呂いかがですか。
BENTENJIMA
湖と海をつなぐ今切口のそば。夕暮れ時には、湖面が金色に染まる美しい景色が広がります。
HAMAMATSU CASTLE
徳川家康が17年間を過ごした城。浜松の街歩きの起点として、立ち寄ってみたい場所です。
EEL PONDS
湖岸に広がる養鰻池。水面に映る空と、静かな作業の気配が、浜名湖うなぎの日常を伝えています。
浜名湖うなぎ、一日のモデルコース
浜名湖うなぎについて、知っておきたいことをまとめました。
浜名湖は海水と淡水が混ざる汽水湖で、うなぎが育つための豊かな環境があります。また、温暖な気候と豊富な地下水に恵まれ、明治時代から養鰻が続いてきたことも大きな理由です。
養殖のうなぎは一年を通して出回るため、いつでも味わえます。脂がのる秋冬もおいしい季節。土用の丑の日は、特に多くの人でにぎわいます。
関東風は背開きにして白焼きしたあと蒸し、タレ焼きにします。関西風は腹開きで、蒸さずに焼き上げるのが一般的。静岡は両者が交わる地域で、浜松では関東風の蒲焼きが親しまれています。
はい。舘山寺温泉や弁天島、浜松城など、うなぎとあわせて訪れたい場所がたくさんあります。湖を一周するドライブや、浜名湖の夕景を楽しむのもおすすめです。
蒲焼きは蒸し器で軽く温めると、ふっくらとした食感が戻ります。フライパンを使う場合は、酒を少量加えて蓋をし、弱火で蒸し焼きにするのがおすすめです。最後にタレをさっと煮からめると香りが立ちます。