農林水産省「作物統計調査」(2020〜2026年産)に基づく収穫量・需要・在庫・価格の推移と、2040年に向けた需要・生産力の中長期試算(農林水産省、全国米穀販売事業共済協同組合)を1ページに整理しています。
| 年 | 収穫量 生産者ふるい目幅(万t) |
収穫量 1.70mm(万t) |
需要実績 (万t) |
農水省 需要トレンド試算(万t) |
全米販 2040年推計(万t) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020 | 690.6 | 722.6 | 704 | 704(実績) | — |
| 2021 | 669.8 | 700.7 | 702 | — | — |
| 2022 | 639.0 | 670.1 | 691 | — | — |
| 2023 | 639.0 | 661.0 | 705 | — | — |
| 2024 | 651.9 | 679.2 | 713 | — | — |
| 2025 | 718.1 | 746.8 | 683(速報) | — | — |
| 2026(予想) | 710.5 | 740.6 | 693〜711(見通し) | — | — |
| 2040(試算) | — | — | — | 493 | 需要375/生産可能量363 野心的シナリオの需要722(輸出含む) |
農林水産省の作物統計調査(水稲の収穫量)は、2025年産(令和7年産)から主たる公表基準を、従来の「ふるい目幅1.70mm」から、実際の出荷実態に近い「生産者が使用しているふるい目幅(1.80〜1.90mm)」に切り替えました。1.70mmベースの数値も「生産者ふるい下米を含む収穫量」として併記され、過去の年産についても両基準の数値が累年データとして公表されています。本ページでは両基準を併記します。
| 年産 | 主食用 作付面積 (万ha) |
単収(kg/10a) 生産者/1.70mm |
収穫量(万t) 生産者基準 |
収穫量(万t) 1.70mm |
作況 単収指数 |
需給・生産の主な背景 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020年(令和2年) | 136.6 | 508/531 | 690.6 | 722.6 | 99 | コロナ禍で外食需要が減少。在庫が積み上がり、米価は下落 |
| 2021年(令和3年) | 130.3 | 515/539 | 669.8 | 700.7 | 100 | 過剰在庫を受け、主食用から飼料用米・備蓄米等への大幅な作付転換(主食用作付面積は▲6.3万ha) |
| 2022年(令和4年) | 125.1 | 511/536 | 639.0 | 670.1 | 100 | 作付面積の縮小が続き、収穫量は670万t台へ |
| 2023年(令和5年) | 124.2 | 515/533 | 639.0 | 661.0 | 101 | 猛暑による高温障害で一等米比率と精米歩留まりが低下。需要は増加に転じ、2024年夏の端境期に品薄へ |
| 2024年(令和6年) | 125.9 | 519/540 | 651.9 | 679.2 | 101 | 1.70mmベースで前年比+18.2万tも、集荷競争の激化で価格が高騰。2024年6月末の民間在庫は153万tと低水準 |
| 2025年(令和7年) | 136.7 | 526/547 | 718.1 | 746.8 | 102 | 高米価を受けた主食用への作付回帰(+10.8万ha)で大幅増産。2017年産以来の高水準 |
| 2026年予想(令和8年) | 136.0 | 524/546 | 710.5 | 740.6 | 102 | 9月25日現在の予想。備蓄米等への転換で作付面積は▲0.7万ha、長雨・日照不足で単収は▲2kg。需要見通し(693〜711万t)を上回る水準 |
作況単収指数は、10a当たり収量の「前年産までの5か年中3か年平均(最高・最低を除く)」に対する比率。2020年産以降は生産者ふるい目幅ベースで算出されており、従来の作況指数に代わる指標として2025年産から導入された。2026年産の数値は概数値。
生産量、需要実績、翌年6月末の民間在庫、相対取引価格を年産ごとに並べると、2024年産を中心とした「在庫の枯渇と価格高騰」から、2025年産以降の「在庫の回復と価格の軟化」への転換が読み取れます。
| 年産 | 生産量(万t) 生産者基準 |
需要実績(万t) 当該年産の7月〜翌6月 |
翌年6月末 民間在庫(万t) |
相対取引価格 年産平均(円/玄米60kg) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年産(令和4年) | 639.0 | 691 | 197 | 13,844 |
| 2023年産(令和5年) | 639.0 | 705 | 153 | 15,315 |
| 2024年産(令和6年) | 651.9 | 713 | 155 | 25,179 |
| 2025年産(令和7年) | 718.1 | 683(速報) | 243 | 35,573(速報) |
| 2026年産(令和8年)予想 | 710.5(予想) | 693〜711(見通し) | 242〜260(見通し) | — |
需要実績は玄米ベースの主食用米等需要量(前年6月末在庫+当年産生産量+政府備蓄米供給量−当年6月末在庫)。2025/26年の需要実績は2026年11月末までに見直される予定。相対取引価格は出回りから翌年10月までの全銘柄平均で、2025年産は2026年6月までの速報値。
長期的なコメの需給は、「人口減少・少子高齢化による需要減」と「稲作農家の高齢化・離農による生産力低下」の2つの軸で試算されています。代表的な試算は次の2つです。
| 試算 | 指標 | 2020年 | 2040年 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 農林水産省 基本法検証部会(2022年12月) | 主食用米の需要量 | 704万t | 493万t | ▲211万t(▲30%) |
| 同 | 主食用米の作付面積 | 137万ha | 96万ha | ▲41万ha |
| 同 | 水田面積(トレンド) | 225万ha | 203万ha | 100万ha超が主食用米以外へ |
| 全米販・日本総研 「米穀流通2040ビジョン」現実的シナリオ(2024年6月公表) | 国内需要量(独自推計) | 636.6万t | 375万t | ▲41% |
| 同 | 生産可能量 | — | 363万t | 2020年比 ▲50% |
| 同 | コメの基幹的従事者 | 85万人 | 30万人程度 | ▲65% |
| 同 野心的シナリオ | 国内需要量(輸出仕向けを含む) | — | 722万t | 2020年比 +13.4% |
| 同 | 輸出量(めざすべき最大量) | 5.4万t(2022年) | 343万t | — |
| 同 | 米穀市場規模 | 5.06兆円 | 5.97兆円 | +18.0% |
日本の主食用米の収穫量は、2023年産の661.0万t(1.70mmベース)を底に、2025年産746.8万t、2026年産(予想)740.6万tへと回復した。需要見通し(693〜711万t)を上回る生産が2年続き、民間在庫は2026年6月末に243万tまで積み上がり、短期的には「不足と価格高騰」から「余剰と価格調整」の局面へ移っている。
一方、中長期では、人口減少によって需要が2040年に493万t(農林水産省試算)ないし375万t(全米販推計)へ縮小するのに対し、生産者の高齢化・離農はそれ以上に速く進み、全米販は2040年の生産可能量を363万tと推計する。2030年代以降の課題は「余剰対策」から「生産基盤の維持と、輸出・加工用途を含めた需要の創出」へと転換する。