50年の減少と、直近の回復を分けて見る
みかんの収穫量は、1975年の366.5万トンから2025年の65.63万トンへ、約82%減少しました。長期的には実をならせる園地の面積が縮小し、年ごとの収穫量には天候や木の実のつき方も影響します。[1] [2]
2024年の55.96万トンから、2025年は前年比17.3%増に回復しました。ただし、実をならせた「結果樹面積」は引き続き減少しています。単年の増収だけで、生産基盤が回復したとはいえません。[2]
主要果実の収穫量の推移
全国の毎年の収穫量を比較します。1973~2024年は長期累年統計、2025年は各品目の第1報(概数)です。凡例をクリック・タップすると品目を表示・非表示にできます。[1]~[4]
グラフの表示にはJavaScriptとインターネット接続が必要です。数値は下の表でも確認できます。
単位:千トン(1千トン=1,000トン)。みかんは温州みかんで、いよかん・不知火・せとかなどの中晩柑類は含みません。4品目を同じ長期統計で確認できる1973年から掲載しています。線は年ごとの観測値を結び、未観測の値を曲線で補っていません。
全53年の数値表を見る(1973~2025年)
収穫量は千トン、みかんの結果樹面積はha。2025年は全品目とも概数です。狭い画面では表を左右にスクロールできます。
| 年産 | みかん(千t) | りんご(千t) | 日本なし(千t) | ぶどう(千t) | みかん結果樹面積(ha) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1973 | 3,389.0 | 962.7 | 479.9 | 271.0 | 156,300 |
| 1974 | 3,383.0 | 850.4 | 507.6 | 294.9 | 160,300 |
| 1975 | 3,665.0 | 897.9 | 460.5 | 284.2 | 160,700 |
| 1976 | 3,089.0 | 879.4 | 493.0 | 304.1 | 157,700 |
| 1977 | 3,539.0 | 958.8 | 518.7 | 326.5 | 153,900 |
| 1978 | 3,026.0 | 844.0 | 484.1 | 327.7 | 149,400 |
| 1979 | 3,618.0 | 852.7 | 505.1 | 352.0 | 143,400 |
| 1980 | 2,892.0 | 960.1 | 484.6 | 323.2 | 135,000 |
| 1981 | 2,819.0 | 845.7 | 479.2 | 309.9 | 128,000 |
| 1982 | 2,864.0 | 924.5 | 482.2 | 338.3 | 120,900 |
| 1983 | 2,859.0 | 1,048.0 | 493.1 | 323.7 | 115,900 |
| 1984 | 2,005.0 | 811.7 | 470.4 | 310.4 | 111,100 |
| 1985 | 2,491.0 | 910.3 | 461.1 | 311.3 | 106,900 |
| 1986 | 2,168.0 | 986.1 | 480.7 | 301.9 | 103,000 |
| 1987 | 2,518.0 | 997.9 | 467.7 | 307.9 | 99,700 |
| 1988 | 1,998.0 | 1,042.0 | 447.0 | 295.7 | 94,700 |
| 1989 | 2,015.0 | 1,045.0 | 439.1 | 274.7 | 78,800 |
| 1990 | 1,653.0 | 1,053.0 | 432.0 | 276.1 | 74,100 |
| 1991 | 1,579.0 | 760.4 | 425.3 | 270.8 | 71,700 |
| 1992 | 1,683.0 | 1,039.0 | 418.2 | 276.0 | 69,300 |
| 1993 | 1,490.0 | 1,011.0 | 382.3 | 259.5 | 68,500 |
| 1994 | 1,247.0 | 989.3 | 416.9 | 244.9 | 67,000 |
| 1995 | 1,378.0 | 962.6 | 383.1 | 250.3 | 65,400 |
| 1996 | 1,153.0 | 899.2 | 377.7 | 243.9 | 63,500 |
| 1997 | 1,555.0 | 993.3 | 404.6 | 251.3 | 62,000 |
| 1998 | 1,194.0 | 879.1 | 382.4 | 232.9 | 60,600 |
| 1999 | 1,447.0 | 927.7 | 390.4 | 242.2 | 59,700 |
| 2000 | 1,143.0 | 799.6 | 392.9 | 237.5 | 58,400 |
| 2001 | 1,282.0 | 930.7 | 368.2 | 225.4 | 56,300 |
| 2002 | 1,131.0 | 925.8 | 375.7 | 231.7 | 55,000 |
| 2003 | 1,146.0 | 842.2 | 332.2 | 220.8 | 53,700 |
| 2004 | 1,060.0 | 754.4 | 328.1 | 205.6 | 52,300 |
| 2005 | 1,132.0 | 818.9 | 362.4 | 219.9 | 51,500 |
| 2006 | 841.9 | 831.8 | 291.4 | 210.5 | 50,300 |
| 2007 | 1,066.0 | 840.1 | 296.8 | 209.1 | 49,300 |
| 2008 | 906.1 | 910.7 | 328.2 | 201.0 | 48,300 |
| 2009 | 1,003.0 | 845.6 | 317.9 | 202.2 | 47,000 |
| 2010 | 786.0 | 786.5 | 258.7 | 184.8 | 46,100 |
| 2011 | 928.2 | 655.3 | 286.2 | 172.6 | 45,300 |
| 2012 | 846.3 | 793.8 | 275.4 | 198.3 | 44,600 |
| 2013 | 895.9 | 741.7 | 267.2 | 189.7 | 43,700 |
| 2014 | 874.7 | 816.3 | 270.7 | 189.2 | 42,900 |
| 2015 | 777.8 | 811.5 | 247.3 | 180.5 | 42,200 |
| 2016 | 805.1 | 765.0 | 247.1 | 179.2 | 41,500 |
| 2017 | 741.3 | 735.2 | 245.4 | 176.1 | 40,600 |
| 2018 | 773.7 | 756.1 | 231.8 | 174.7 | 39,600 |
| 2019 | 746.7 | 701.6 | 209.7 | 172.7 | 38,700 |
| 2020 | 765.8 | 763.3 | 170.5 | 163.4 | 37,800 |
| 2021 | 749.0 | 661.9 | 184.7 | 165.1 | 37,000 |
| 2022 | 682.2 | 737.1 | 196.5 | 162.6 | 36,200 |
| 2023 | 681.6 | 604.0 | 183.4 | 167.0 | 35,400 |
| 2024 | 559.6 | 609.2 | 172.7 | 164.6 | 34,500 |
| 2025(概数) | 656.3 | 577.4 | 167.9 | 160.3 | 33,800 |
収穫量を「面積」と「作柄」に分ける
収穫量 ≒ 結果樹面積 × 単位面積当たりの収量
結果樹面積とは、その年に収穫するために実をならせた面積です。まだ実をならせない若木の園地なども含む「栽培面積」とは異なります。みかんの結果樹面積は1975年の160,700haから2025年の33,800haへ、約79.0%減少しました。収穫量の長期的な縮小を読むうえで、面積の変化は欠かせません。[1] [2] [7]
| 年産 | 結果樹面積 | 10a当たり収量 | 収穫量 |
|---|---|---|---|
| 2023 | 35,400ha | 1,930kg | 681.6千t |
| 2024 | 34,500ha | 1,620kg | 559.6千t |
| 2025(概数) | 33,800ha | 1,940kg | 656.3千t |
農林水産省は、2025年の増収について、秋の降雨で果実の肥大が進み、高温で作柄が悪かった2024年を上回ったと説明しています。面積が減っても、その年の作柄が改善すれば収穫量は増えます。[2]
10a=0.1ha。各数値は公表時に丸められているため、面積と単収の積が収穫量に完全には一致しません。この分解だけで、政策・高齢化・気候など各要因の寄与率を求めることはできません。
拡大から縮小へ:政策と市場の変化
以下は政策資料に沿った時期の整理です。各要因は重なって作用しており、明確に切り替わったわけではありません。[5]
1. 1960年代~1970年代前半:栽培の急拡大
新植への補助や低利融資を背景に、西日本でみかん栽培が拡大しました。一方、1972年には既に過剰生産による価格暴落「みかん危機」が発生。収穫量が最大となる1975年より前に、供給過剰の問題が表面化していました。
2. 1970年代後半~1980年代:園地の転換・整理
新植の抑制、改植や廃園などによる生産調整が進みました。みかんの収穫量は1990年には165.3万トンまで減少しており、長期的な減少はオレンジの輸入自由化以前から始まっています。[1]
3. 1990年代~2000年代:競争環境の変化と品種転換
生鮮オレンジは1991年、オレンジ果汁は1992年に輸入自由化されました。品質の向上や優良品目・品種への転換も進みましたが、収穫量のグラフだけから自由化の影響の大きさを特定することはできません。[6]
4. 2010年代以降:担い手・園地の維持が課題に
高齢化や労働力不足が生産の制約となり、2020年には政策の軸も生産抑制から生産基盤の強化へ転換しました。現在の減少を、過去の生産調整だけの延長として捉えることは適切ではありません。
減少の背景を読む4つの視点
園地を維持する人と労働力
果樹では剪定・摘果・収穫などに多くの労力が必要で、急傾斜の園地では機械化も難しくなります。担い手の高齢化や季節的な人手不足は、園地の維持や経営の拡大を制約します。[5] [6]
品目転換と「量・金額」の違い
他のかんきつ類への転換は、果樹栽培を続けていても「みかん」の統計から外れます。また、品質向上や価格上昇によって、収穫量が減っても産出額が増える場合があります。重量の減少と農家の所得の減少は同じ意味ではありません。[6] [8]
消費の変化と近年の供給制約
果実全体では消費の減少が続く一方、近年は生産の減少が消費の減少を上回り、卸売価格が上昇する状況も見られます。「人気がなくなったから減った」という一方向の説明では、生産側の課題を捉えきれません。[6]
出典と数値の読み方
収穫量は、生食用・加工用として流通する基準を満たす果実の重量です。実際に市場へ出した「出荷量」、国内消費量、農家の所得とは異なります。全国値には、調査年によって主産県の調査結果等から推計した値が含まれます。[7]
確認日:2026年9月17日。2025年産は概数で、後日の確報・訂正で変わる可能性があります。増減率は掲載値から計算し、小数第1位に丸めています。1975年比=(対象年の収穫量 ÷ 3,665 − 1)×100。前年比=(656.3 ÷ 559.6 − 1)×100。2024年の1975年比は−84.7%です。
- 農林水産省/e-Stat「令和6年産果樹生産出荷統計・長期累年」全国表(1973~2024年、2026年3月23日更新):みかん、りんご、日本なし、ぶどう。各Excelの「全国」「収穫量」(t)を1,000で割って掲載。みかんの結果樹面積(ha)も同表から採録。
- 令和7年産みかんの栽培面積、結果樹面積、収穫量及び出荷量、その他かんきつ類の栽培面積(PDF)(2026年5月26日公表)。2025年概数、直近の単収、作柄の説明。
- 令和7年産りんごの栽培面積、結果樹面積、収穫量及び出荷量(PDF)(2026年5月26日公表)。2025年概数。
- 令和7年産日本なし、ぶどうの栽培面積、結果樹面積、収穫量及び出荷量(PDF)(2026年2月17日公表)。2025年概数。
- 果樹農業の現状と課題について(PDF)(2024年10月)。資料内p.2の政策・輸入自由化の年表、担い手・生産基盤に関する整理。
- 令和6年度 食料・農業・農村白書「消費者の需要に即した農業生産の推進と農業経営の安定」。「果樹農業における生産基盤強化を推進」の項。品種転換、労働上の課題、果実全体の需給と産出額。
- 作況調査(果樹)の概要。用語の説明、集計・推計方法、調査対象。
- 平成21年産みかんの結果樹面積、収穫量及び出荷量(PDF)。隔年結果の説明と、廃園・その他かんきつ類への転換の記録。