住民基本台帳人口移動報告 2025年 ・ 日本人 15〜29歳
静岡県の若者はどこへ、なぜ偏るのか
男女で読み解く人口移動
2025年、静岡県は日本人の転出超過数が全国で最も多く、女性の転出超過は全国1位、男性は2位でした。15〜29歳に絞り、男女・35市町・年齢・移動先別に転入と転出を分解すると、女性の純流出の大きさは「多く出ていく」ことよりも「入ってこない」ことで生じています。
年代別の転出超過:女性は20代前半に集中
静岡県全体の転出超過(他都道府県への転出 − 転入)。男性は10代後半から20代前半まで平坦、女性は20代前半に突出します。
男性女性
転出と転入に分解すると:女性は「入ってこない」
線の右端が他都道府県への転出、左端が他都道府県からの転入、長さが転出超過です。転出は男性の方が多いのに、転入は女性が大きく少ない。20〜24歳で女性の転出超過が男性より864人多いのは、転入が2,038人少ないためで、転出はむしろ1,174人少なくなっています。
男性女性転入転出
転出者数は表8-2(移動後の住所地別転出者数)の46都道府県計、転入者数は転出者数+転入超過数(表8-3)で算出。1000人当たりの分母は2025年1月1日の住民基本台帳人口(日本人)。
35市町:人数は都市部、人口比は伊豆・中山間
各市町の転入超過(負の値が転出超過)。人口比ではワースト10のうち7市町が男女とも伊豆地域。女性の方が悪い市町が27、男女差が最も大きいのは松崎町(女性−134.0、男性−13.5/1000人)。
指標
年齢
並び順
男性女性
静岡市・浜松市は市計(区間の移動を含まない)。市町の収支には県内の他市町との移動を含み、35市町の合計は県外との収支に一致します。地域区分は本ページの分析上の区分(伊豆=熱海・伊東・下田・伊豆・伊豆の国・東伊豆・河津・南伊豆・松崎・西伊豆・函南)。小規模な町は数人の差で率が大きく動きます。
年齢 × 市町:男性の20代は西部で転入超過
人口1000人当たりの転入超過。赤は転出超過、青は転入超過。枠線は各市町・性別で転出超過が最も大きい年齢。浜松・袋井・湖西では20〜24歳の男性が転入超過なのに、同年代の女性は流出しています。
転出超過 −60+60 転入超過(人/1000人)列=年齢階級(15=15〜19歳)最大の転出超過
±60を超える値は色の上限で表示(数値はホバーまたは表で確認できます)。転入超過の市町の数:15〜19歳 男3・女0、20〜24歳 男4・女1、25〜29歳 男11・女6。
移動先:東京・神奈川で約8割、男性は愛知の比重が大きい
静岡県から見た転出超過の相手先(上位7都府県とその他)。東京・神奈川の占有率は男性78.2%・女性79.1%とほぼ同じですが、愛知県は男性17.5%・女性11.6%。その他の39道府県に対しては、合計で男女とも転入超過です。
男性女性
積み重なった結果:20代の性比の歪み
2025年1月1日時点の日本人人口の性比(女性100人に対する男性の数)。全国は各年代とも約105ですが、静岡県は20〜24歳110.7、25〜29歳114.6。過去の女性の転出超過が蓄積しています。
静岡県全国
読み取れること
- 男女差の源泉は転入の不足。他都道府県への転出は男性15,378人・女性12,138人と男性が多い一方、転入は男性11,907人・女性8,069人。人口比でも20〜24歳の転出率は男性92.3‰・女性85.9‰、転入率は男性75.6‰・女性55.4‰です。
- 戻り・呼び込みの弱さ。転入÷転出は東京都との間で男性0.50・女性0.41、神奈川県との間で男性0.65・女性0.46。
- 就職期の労働市場の性別偏り(仮説)。西部の製造業集積地域では20代前半の男性が転入超過、女性は転出超過。同じ地域労働市場が若年男性だけを吸収している可能性があります。
- 地域構造は男女共通。人数では静岡・浜松・富士などの都市部、人口比では伊豆・中山間地域で流出が重い。
- 政策含意。「女性の流出を止める」よりも、「女性の転入・還流(U/Iターン)を生む雇用と職種の多様化」に焦点を置く方がデータと整合的です。
留意点
- 労働市場の性別偏りによる説明は仮説です。学校基本調査(就職先の産業、県外就職)、雇用動向調査などの男女別データでの検証が必要です。
- 御殿場市の15〜19歳男性の転入(239人、女性48人)のように、特定機関への配属など男性に特有の移動が混じっている可能性があります(未検証)。
- 住民票を移さない進学・就職は含まれません。捕捉漏れの男女差は不明です。
- 2025年の単年データです。小規模な町は複数年平均で確認するのが望ましい。
- 20代女性の人口は過去の流出で既に小さく、1000人当たりの率は累積的な影響を過小に表します。
データと再現方法
- 総務省「住民基本台帳人口移動報告」2025年 年報:表8-2・8-3(都道府県別)、表11-1〜11-3(市区町村別)、日本人移動者。e-Stat
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」令和7年1月1日、日本人住民の市区町村別年齢階級別人口。e-Stat
- ダウンロード:市町別CSV ・ 移動先別CSV ・ JSON
- 作成:このページ(e-Statからのデータ取得・集計スクリプト、可視化、本文)は、kklab の指示のもと Anthropic の Claude Opus 5.5 を用いて作成しました。
- 再現:
python scripts/build_data.py がe-Statから原表を取得し、上記データを生成します(静岡新聞2026年9月28日記事の女性の数値を完全に再現することを確認済み)。