富の増大
過去25年間で、アメリカの最も裕福な上位1%は下位50%をはるかに上回る富の増加を経験した。
本版はNBC Newsのグラフ(データ更新日2025年3月23日)を日本語化し、最新データ(2026年第2四半期)まで拡張した再現版。
出典:米連邦準備制度理事会(FRB)分配金融勘定(Distributional Financial Accounts)
主なポイント
- 上位1%の純資産は2000年第1四半期の約11.7兆ドルから2026年第2四半期には約60兆ドルへ、約5.2倍に増加。
- 下位50%は同期間に約1.4兆ドルから約4.3兆ドルへ、約3.2倍にとどまる。
- 金融危機(2008〜09年)では下位50%の資産が約1.5兆ドル(2006年第2四半期)から約0.3兆ドル(2010年第4四半期)へ5分の1以下に激減する一方、上位1%はその後の資産膨張で大きく回復・拡大。
- 2020年以降の急拡大で、上位1%が全国の富のシェアはさらに集中(FRB推計で上位1%の富のシェアは約30%)。
グラフの読み方と解釈
グラフが示していること
縦軸は純資産(資産から負債を差し引いた額、単位は兆ドル・現在価値)、横軸は1989年第3四半期から2026年第2四半期までの四半期です。 上位1%の純資産は60.3兆ドル、下位50%は4.3兆ドルで、 両グループの差は2000年第1四半期の約8.7倍から約14.1倍へ拡大しました。
時系列で見る4つの局面
- 1989〜2000年(ITバブル):上位1%が4.7兆ドルから11.7兆ドルへ急伸。株式市場の上昇がそのまま富裕層の資産増につながりました。
- 2000年代〜金融危機:上位1%は2007年第3四半期の19.2兆ドルをピークに21%減でとどまりましたが、資産の大半を住宅に依存する下位50%は約1.5兆ドルから0.25兆ドル(2010年第4四半期)へ約83%も減少しました。
- 2010年代(金融緩和と株高):大規模な金融緩和の下で株式が回復・上昇し、上位1%は2019年第4四半期に32.7兆ドルへ。下位50%も緩やかに持ち直しましたが1.9兆ドルどまりでした。
- 2020年以降(資産インフレの加速):コロナ禍の金融・財政政策で資産価格が急騰し、上位1%は2021年第4四半期に43.7兆ドルへ。2022年の利上げ局面で一時10.7%調整したものの、その後再び加速し、2026年第2四半期には60.3兆ドルに達しました。
なぜ差が開くのか(構造的要因)
主な要因は保有資産の構成の違いです。上位1%は株式や事業資産を中心に保有しており、株価上昇の恩恵を直接・大きく受けます。 一方、下位50%の資産は住宅が中心で、住宅ローンなどの負債も抱えているため、資産価格上昇の恩恵は小さく、危機時には純資産が大きく毀損します。 資産インフレの局面では、すでに資産を多く持つ層ほど複利効果でさらに増えやすい構造になっています。
読む際の注意点
- 数値は現在価値(名目)で、物価変動は調整されていません。
- FRBの推計値であり、後から改訂されることがあります。
- 「上位1%」はFRBの区分で「上位0.1%」と「99〜99.9パーセンタイル」の合計です。
データ(四半期)
出典はFRB「Distributional Financial Accounts」。上位1%は「上位0.1%」と「99〜99.9パーセンタイル」の合計。 単位は兆ドル(現在価値)。
| 四半期 | 上位1%(兆ドル) | 下位50%(兆ドル) |
|---|
全期間(1989年第3四半期〜)のデータ: CSV(日本語列名) / CSV(英語列名)